今回は交渉術編、「相手は気持ちよくだまされたがっている!?」ということについてお話しましょう。
えっ、だまされたがっている?どういうこと?
とお思いかもしれませんね。
実際にあった私のお話をしましょう。
相手は気持ちよくだまされたがっている・・!
それはスペインでのことです。
バレンシアの会社の応接室にいました。
大事な商談のために日本から飛んできたのです。
独占販売権の契約のためでした。
「年間どのくらいの金額を販売していただけるのですか」
相手は、ズバリ聞いてきました。
一番聞かれたくない質問でした。
私は、探りを入れました。
「どのくらいを考えておられるのですか」
相手の輸出部長は、ちょっと考えてこう言いいました。
「私どもは、日本との取引は、さほど多くないのでなんとも見当が、つきません。
ミスター大須賀が、販売可能な数字が知りたいのです。」
うまい聞き方でした。私は、迷いました。
このメーカーの年商は、どのくらいなのだろう?
いくらと言えば彼女は、満足するのか?
私は、続けました。
「満足できる数字が知りたいのです。
それによって我々の販促計画を検討したいと考えているのです。」
彼女は、言いました。
「私は、あなたの可能な数字が聞きたいのです。
それによって私の方の判断材料にしたいのです」
うーん くえない女だ。
よし言ってしまえと、覚悟を決めました。
そして涼しい顔でこう言いました。
「60,000,000ペセタですね」
60,000,000ペセタは、日本円では約5000万円に相当する金額でした。
そして小さい声で、こう続けました。
「できれば5年後くらいに」
それを聞いた彼女は、にっこり微笑んだ。
「わかりました。やりましょう。初年度は、500万購入してください」
彼女は、私にコミットしてほしかったのです。
本気かどうかを試したのです。
組める相手かどうかをみたのです。
数字は水ものです。
やってみなければ、実際わからないのです。
どうせだまされるなら、気持ちよくだまされたいではないですか。
女性なのに妙に男気のある相手でした。
人は、コミットしてくれる相手を欲しがっているのです。
パートナーとして選ぶのであれば、だれしもそう考えるのではあるまいか。
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