交渉術についてのお話をしましょう。

今回はズバリ、「相手の提案が自分にとって有利なのか不利なのかを一瞬にして見破る方法」です。

これは、実際にあった私のお話です。

 

相手の提案が有利なものか一瞬で見破るには?

私は困惑していた。

まったくわからないのである。

今日の1時にシャルルドゴール空港に降りたってから3時間後の話である。

その早口でまくしたてるフランスなまりの英語が、私にはまったくわからないのである。

 

最初からまずかった。

空港につきまっすぐ今回の最大の目的であるフランスメーカーとの、

最初の折衝にむかうべく空港からタクシーに乗った。

私は住所を告げ今回の商談で得たい結果に想像を巡らせていた。

 

しばらく乗った後、運転手は言った。

「このあたりなんですが、案内してください」。

 

私は言った。

「ここいらは初めてだからここの住所のところまで連れて行ってほしい」

 

すると運転手は意外なことを言った。

「ここら辺り一つのブロックが、すべて同じ住所です。」

と。

 

今のようにナビもない。

もちろん携帯もない。

その一帯をなんどもなんども行き来するが、どうにもわからないのである。

 

運転手もそろそろ気が立ってきて、お客さんどうしますか?

ここらでおりて電話されたらどうですかと苛立っている様子。

私はしかたなく公衆電話の前でおりた。

そして公衆電話に入った。

 

そこからがまた問題なのである。

かけ方がわからないのである。

小銭を入れるところが、ないのだ。

前を通り掛ける人に、聞いた。

「どうやってかけるのですか?」 

 

そしてやっとわかった。

日本でも昔あったカード専用の公衆電話だったのである。

そしてやっとの思いでメーカーに電話した。

迎えに来てほしいって。

 

約束の時間を大幅に遅れて到着したが、それからが本題なのだ。

セーヌ川のほとりにそのメーカーは、あった。

いかにも工場の事務所という感じのうす暗い事務所に通された。

私は、さっそく今回の目的を告げた。

もともとこのメーカーとは、パリの展示会で知り合った。

そのフランス的なエレガントな感じが、とても気にいったのである。

早速アポをとりこの商談にこぎつけたのである。

展示会の時に相手をしてくれた輸出部長のジル女史は、不在で社長が、

相手をしてくれるとのこと。

 

ちょっといやな予感がした。

あれほど事前にアポイントを確認しての訪問なのに、その当事者がいないのである。

 

いかにもフランス人的な対応である。

急なアポイントが、はいったとのこと。

 

私は、こういう理由を認めないという立場の人間である。

 

アポが、自分の意志をもってはいるはずがないではないか!。

 

人間が、アポを入れるのである。

アポイントが、自分からアポイントです。

入ってもいいですかなんて言うわけがない。

 

彼女は、私との約束よりあとからのアポを優先させただけなのだ。

無性に腹が、たった。

 

しかし逆に社長自ら対応してくれるということに関しては、

それだけ大事にしてくれているのかなとも思い、

切り替えることして冒頭の商談は、始まったのである。

 

フランス人は、後約であっても先約より優先されるということを知ったのは、

もう随分後ことである。

 

さらに悲劇は続く。

商談が始まったが、まったくわからないのである。

彼のフランスなまりの早口の英語が、聞き取れないのである。

 

もっとゆっくり話してくれとお願いするのであるが、

それでも何言っているのかわからないのである。

 

私は、当惑した。よくフランス人は、自己中心的と言われているが、

それを実感した。

 

時折理解できることは、相手にとって都合のいい話ばかりのように聞こえる。

 

こんなやり取りが、1時間も過ぎたころ、彼は、言った。「どうですか」と。

 

相手の提案が良いものか悪いものかを見分ける魔法のワード

私は、判断をつけかねていた。

判断がつかないとき、分からないときは、「NO」と言え。

 

これが、私が数々の商談を通して学んだことである。

すると相手は怪訝そうな顔をして

「NO?なぜNOなんだ。君が事前に出した条件をほぼ飲んでるじゃないか。

 なぜ?どこが気に入らないんだ」

 

彼は、食ってかかってきた。

私は、いつものようにウインクしながら

茶目っ気たっぷりににこやかにこう言った。

 

「I mean YES」(冗談だよ、つまりイエスってことだよ)

彼も笑って言った。

 

「そっか よかった。じゃ詳細をつめようかって」

って。

 

私は、あまりよくわからないとき判断に窮したときには、

この台詞を言うことにしている。

私にとって、不利な条件の場合は、きまって相手は肩をすくめながら、

「かなわないな。じゃこれはこのように改善しよう」

再提案してくるからだ。

逆に私にとって明らかに有利な提案の場合は、

相手が「なんで?」と不思議な顔をするからである。

一瞬にして相手の提案が、自分にとっていいものか悪いものかを見分ける

魔法のワードであり魔法の方法でもある。

いかがでしたか?

 

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