クレームという言葉の持つ本当の意味とは?

日本では、お客さんから苦情を受けた場合、クレームを受けるといいますね。

たいていの人は、クレームというと「文句を言う」「ケチをつける」「不平を言う」
というようなイメージを抱くのではないでしょうか。

ですが、海外の輸出業者・メーカーにいう場合は、日本よりも非常に重い意味を持ちます。

クレームclaim)という言葉はもともと権利を主張するという意味ですから、
海外メーカーにとっては「損害賠償の請求をする」という意味になるのです。

ですから、このクレームという言葉は十分注意して使って下さい。

もし、ただ単に文句を言う、苦情を言うというのであれば
make a complaint」を使うことをお勧めします。

 

3種類のクレーム

貿易に関するクレームは3種類あります。

1.運送クレーム

運送クレームは、輸送中の貨物損傷など、貨物の運送人に責任がある場合に、
船会社や航空会社に申し立てるものです。

2.貿易クレーム

貿易クレームは、品質不良・相違、梱包不良や数量不足など商品に関する契約や、
もしくは船積み遅延や分割輸送など船積みに関する契約に不履行起こった場合、
取引相手に申し立てるものです。

3.マーケットクレーム

さらにもう一つ、最悪なクレームとしてマーケットクレームがあります。

マーケットクレームとは、簡単に言うと正当なクレームではないクレームのことを言います。

例えば、あなたがある商品を注文したとします。
海外の生産期間は長い場合が多いですから、生産に2か月、運搬に船で1か月かかったとします。
その3か月の間に商品の寿命が切れてしまった。
そうすると、商品を輸入したくなくなりますね。
その時に色々なありもしないイチャモンをつけて、
法外な値引きや注文のキャンセルを要求する。
これをマーケットクレームといいます。

もし、あなたが輸出者の立場である場合、こういうことを
言ってくる人がいるので注意が必要です。

 

商品品質などに関するクレームは、事前のサンプルチェックなどで、
また、船積みに関するクレームは事前の契約条件の話し合いなどによって、
ある程度防ぐことができます。

 

クレームはどうやって解決すればいいのか

クレームの一番理想的な解決方法は、当事者間の話し合いによる和解Compromise)です。

しかし、それでも解決できない場合にはどうすればいいのか?

次の三つの方法があります。

1.調停

あなたと相手の双方が合意する第三者に、調停委員として調停案を示してもらうのです。
しかし、調停案には法的拘束力がなく、どちらか一方が拒否すれば解決することができません。

2.仲裁

あなたと相手の双方が合意する第三者に、仲裁人として裁定書を作成してもらうのです。
この裁定書には法的な拘束力があり、最終的に従わなければなりません。

3.訴訟

調停や仲裁で解決することに対して両社とも合意しない場合に、
両社の一方が裁判所に訴えを提出することです。

契約書の内容によっては相手国へ出向かなければなりません。

最終判決まで長い時間がかかるうえに、弁護士費用などの
経費もかさむため、現実的ではありません。

 

これらの方法を利用した場合、お互いの関係が崩れることはもちろん、
コストや時間を浪費することは間違いありません。

今後の取引から発生するメリットを考えて、
引くところは引くという現実的な対応が大切です。

私がお勧めする解決法は、
次回の取り引きのときに相応の値引きをしてもらうという方法です。

これなら事態も大きくならず、お互いに納得しやすくなります。

 

いかがでしたでしょうか。

 

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