輸入ビジネスと聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?

「純粋に面白そう」
「海外に仕事でいける」

などのいいイメージや、

「ただでさえ、英語が苦手なのにいろんな専門用語が飛び交ったりして難しそう」
「いろいろな手続きが面倒そう…」

こういったイメージが第一印象としてあがるのではないでしょうか。
ですが、こういったことは意外に問題にならないものなのです。
英語に関しては逆に専門用語さえおさえてしまえば、意外にスムーズに進みます。

輸入ビジネスは、中小企業でも大企業に勝てるというとてもフェアな世界です。
全ての人に均等な機会が与えられます。
大企業だとか中小企業だとかいうところを海外のメーカーは見ていません。
パートナーとしてふさわしい人間か、長い付き合いをしていけそうか
特にヨーロッパのメーカーはこういった人間的な関係を第一にしてから、
いかに商品をさばいてくれるのか、という点に注目していきます。

ですから、あなたは限定されたあなたの得意な分野、専門分野、
大企業がやらないようなニッチな分野で勝負していく。
情熱と商品に対する愛情があれば、小が大を食う可能性が多分にあるビジネスなのです。
相手はあなた個人と取引する、というイメージが強く先ほど述べた情熱と商品への
愛情はもちろんのこと、今後の可能性、能力と取引しているのです。
決して企業としてのポテンシャルではかっているのではありません。

 

では、なぜこうしたフェアな世界で失敗が起きてしまうのか?

成功から学ぶことは少ないですが、失敗から学ぶことって多いですよね。
私も28年間、輸入ビジネスに従事してきました。
そして、その28年間は失敗の連続でした。
なにせ、会津若松という海もない閉鎖された環境、当時は今と違い、
情報などほとんど得られない時代でしたからほとんど手探りでやってきました。
周りに相談できる人もいない、問題が起きても聞くこともできないという状況です。
いろいろと手痛い経験もし、ダメだと思ったことも何回もありましたが、
その失敗があるからこそ今の私があります。

あなたには私が経験したような失敗はしてほしくないと思っています。

私は上記の経験から失敗するキモをつかみました。
それはすなわち「失敗しないキモ」でもあり、「成功への道しるべ」になるものです。

なぜ失敗したのか、これがわかることで成功への道筋を
示すことができる4つのポイントをお教えします。

 

1.日本と海外では文化が違う

日本人は交渉が苦手です。いや下手と言ってしまってもいいでしょう。
そもそも、議論や交渉はしないで済むならばそれで済ましたい
と思っている人がとても多いのです。

ですが、海外のビジネスマンは違います。
ダメで元々、自分たちに都合のいいことを要求していきます。

ただ、彼らも全て自分の要求が通ると思って要求しているわけではありません。
彼らは彼らなりに自分の落としどころを決めていて、それの倍くらいの要求を
まずしてみる、というところから始めているのです。

日本人はその迫力に圧倒されてしまってついつい「YES」といってしまいがち
ですがこれでは交渉になりません。
言いたいこと、正当な要求は堂々とすべきなのです。
発言しないことは権利の放棄に等しくなってしまいます。
日本人の謙譲の美徳、というのはビジネスの場ではほぼ通用せず、
到底理解されないということを肝に銘じておいて欲しいのです。

 

2.日本と海外の品質基準は大きく違う

輸入ビジネスで最も大きな問題としてあげられるのはやはり品質の問題です。
日本と海外の品質基準が大きく違うという事実に根差してます。
日本の品質基準は、今や世界一です。不良品はないのが当たり前です。

ですが、海外は違います。
完璧でない人間が作る製品に完璧などあるわけがない、
という理屈で平気で10~20%の不良品率がでます。
ですから、この日本のとてつもなく高い品質基準を理解し、
海外サプライヤーがその品質基準に応えられるだけの技術や熱意をもつかどうか
これが重要なポイントになってきます。
ですから、こちらの商品改良の要求に応えてくれるようなメーカーですと
非常に好ましいですね。

また、サンプルをオーダーした段階では品質が高いと思い、顧客との商談を進めていた。
OKをいただき、いよいよ注文となり、実際にメーカーにオーダーしてみると、
圧倒的に品質の劣るものが届いた。
こういったケースは少なくない、というのが現状です。
そうしたケース以外に、届いた商品がサンプルとはまったく違う形状のものだった、というケースも起こりえます。
現物の品質がサンプルよりも劣るとなると、納品時に影響が出るのは当然で、
大幅値引きを要求されたり、最悪の場合はキャンセルなんてこともあり得ます。

こういったトラブルを避けるために、サンプルを入手して品質、形状を確認したら、
契約書に「(契約段階で)入手したサンプル通りの品質、形状のものを送る事」
という一項を入れておきましょう。
この一項があれば輸入者は強い態度をとることができます。

前もって入手していたサンプルと届いた商品を並べて写真に収め、
その写真をメールに添付して相手へ送ってください。
相手を納得させ、交換もしくは返金、もしくは値引きを要求するといいでしょう。
これも非常に重要ですので覚えておいてくださいね。

 

3.先に多額の投資をしてはいけない

輸入ビジネスでやってはいけないことの一つに、
「先に多額の資本投資をしてしまう」ということがあります。
いきなり多額の投資をする前にすべきことがたくさんあります。
この手順を踏まずに一気に輸入してしまうと多額の負債を抱え失敗をしてしまう、
ということにつながってしまいがちです。

では、具体的にはどうすればいいのか?
輸入ビジネスで必ず踏むべき手順についてお話しさせていただきますね。

市場調査をする

まずは、日本での市場調査が重要です。一例をあげるとすれば、

・ニーズやウォンツがあるにもかかわらず日本には流通していない商品。
・日本では流通していないが海外では爆発的な人気のある定番商品。
・日本よりも安価で仕入れられる小物類。
・いつも目にするものでもちょっとしたデザインや機能を追加した遊び心のある雑貨。

こういったものに目星をつけてから商品探しに注力しましょう。
その後、商品探しをするのですがこれは圧倒的に海外の展示会に
参加されることをオススメします。
なぜかと言いますと上記に該当する商品が見つかる確率が段違いなのです。

海外の展示会、というのはまだ世に出ていないもの、その会社の新商品、
新技術による商品などのお披露目の場としても機能していますから世界で
どこよりも早く革新的な商品を目にすることができます。

日本でも行われているモーターショーや家電のショー、ゲームショーなども
新技術をアピールする場になっていますよね?
あれと同じ感覚だと思っていただけるとイメージしやすいと思います。
そういった場で交渉できるわけですから、絶対にお眼鏡にかなう新商品、
爆発的なヒット商品に出会えるはずなのです。

日本への輸出実績があるか確認する

そういった商品が発見できたら日本への輸出実績があるかどうか確認してください。
このポイントは輸入ビジネスにおいて重要です。

【輸出実績がある場合】

メリットは、日本市場を熟知していてそれに対応するだけの技術があると判断できます。
前記の通り、日本の品質基準は世界トップクラスです。
それに対応できるという実績があれば品質については
ある程度約束されているといえるでしょう。

デメリットとしては、すでに販路がある場合、あなたは取引先の一つにしかすぎず、
国内のライバルとの価格競争に陥る可能性があります。
価格に関してもある程度相手の要求をのまなければいけない形にもなりかねません。

【輸出実績がない場合】

最大のメリットとしては、「独占販売権」が結べる可能性があるという点です。
詳しくは割愛しますがこれは非常に強力な武器となります。

デメリットとしては、日本の品質基準を知らないため、理解してもらうのに時間を要する点です。

サンプルオーダーをする

初めから多額の投資をしないためにはどうしたらいいのか。
まずは、サンプルのオーダーから始めることです。

輸出価格を確認の上、卸価格や販売価格を設定し、
製品の品質をチェックすることが大事です。
また、本オーダーの際に質が異なる場合、照合サンプルとしても
用いることができるため大事に保管しておいてください。

また、このサンプルを使い、お客様の声をききます。
商品が最終的に売れるか売れないかはお客様の判断によるところが大きいです。
そのサンプルへのフィードバックをメーカーに伝え、日本市場へ適合するための
品質改善や仕様変更について協議しましょう。

トライアルオーダーをする

ここから本オーダー、とはなりません。
次に重要なのはトライアルオーダーです。
サンプルとオーダー商品の品質が異なってないか確かめることもありますが、
もう一点大事なことは、表にはあらわれていない、潜在的な欠陥を見極めるということです。

例えば、一か月使用するとある部分が壊れる、とれてしまうなどです。
これを防ぐためにいきなり本オーダーではなく少量のトライアルオーダーをする。
そしてある程度の期間、検証をするということが大事になってきます。

これら上記のステップが順調に行き、売れる手ごたえがあって
はじめて本オーダーという形をとります。
こうしたしっかりとした手順を踏むことにより、
多額の資金損失を防ぐことができるのです。

 

4.輸入ビジネスにおいてやってはいけないこと

最後に私からこれだけはやってはいけない、ということを
2点お話させていただきたいと思います。

個人輸入したものを販売はしてはいけない

個人輸入で輸入、販売はしてはいけないということをご存知でしたか?
これを知らないために逮捕なんてことも起こる事があるんです。
そのくらい、とても重要な問題なのです。

まず最初に「個人輸入」と「商業輸入」の違いは何なのか?
それは一口で言ってしまうと目的の違いなんです。

「個人輸入」は、自分が使うために使う分だけを自己の責任で輸入することが目的です。
ですので、金額によっては関税が免除になる場合があります。

一方「商業輸入」とは、「第三者に対して最初から販売する目的
個人や事業者等が海外から商品を直接輸入する」ことが目的になっています。
この場合は必ず関税を払わなければなりません。
たとえ、少額の小口輸入であってもです。
関税を支払っていない商品は日本国内で販売してはいけない」
ということになっています。

ですから結論を言うと、個人輸入したものは販売はできないということになりますね。
簡単に言うと個人用途のための輸入なのか、業務用輸入なのかという違いという事になります。
「単なる言葉の違いじゃないか」などと考えないでください。

アンダーバリュー

また、もう一点関税に関するやってはいけないことをお話しさせていただきます。
アンダーバリューという手法です。

海外との取引においてかかる費用には、輸送費や通関費用、関税や諸税などがあります。
この関税や諸税などの税金は、インボイス(請求書)の価格に基づいて
課されることが多い為、金額が張ればそれに応じた額の税金を支払う必要があります。
アンダーバリューとは、この実際の金額をインボイス(請求書)を操作することにより
不当に安く記載する不正行為のことです。

これは「節税」ではありません。立派な「脱税」です
絶対にやってはいけません。

こういった不法行為を「節税」と称して教えている不届きな輩がいる、
というお話を聞きます。
これは絶対にあってはならないことだと思います。
そして、これは一度摘発されるとブラックリスト入りし、
その後、輸入する際に毎回全量を検査されることになります。
これではとても商売にならず、実質輸入ビジネスができなくなってしまいます。

少し脅かしのようになってしまいましたね。
ただ、本当に気をつけてください。

こういったことを避け、正しい知識を身につければ、これほど楽しいビジネスはありません

皆様の輸入ビジネスに是非お役立てくださいね。

 

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