今回は、私 大須賀祐の苦い思い出です。

 

もっとも手ごわい相手とは?

「なんとか月末まで少しでもいいですから、払って頂けませんか?」

私は、どきどきしながらそう言った。

 

「そう言われましても、私どもとしてはお支払いのお約束は
来月の20日とお話したはずですが」

 

「それは、存じています。しかしまだ一度もお支払いを受けていないうちに
思いもかけず500万を超える金額のお取引を頂いてしまいました。
もちろんありがたいことなのですが」

 

ギフトショーの後に彼は、私にアプローチをしてきた。

ギフトショーが終わり、結果にちょっと失望していた時であった。

 

この展示会のために準備したサンプルが、納期遅れのために到着せず、
旧来商品だけで展開をせざるを得なくなったのである。

 

不信にあえいだ。

そんなときである。

 

一枚のFAXが流れてきたのは。

 

そこには、こんな魅力的なことが書かれていた。

「御社の商品にとても興味があったが、お忙しそうにしてらっしゃったので、
声をおかけするのを遠慮させていただいた。
ついては、カタログ一式を送付いただけないか」

旨のオファーである。

 

胸が高鳴った。

やっぱり見てくれている人はいるものだ。

そう思うと嬉しくなった。

 

そして私は電話をとった。

数日後彼の会社を訪問した私は、その商談に満足した。

 

事前に信用調査会社でちょっと下調べをしてその結果は、まずまず。

問題は、なさそうだと判断した。

 

支払条件が、ちょっと気になったが、それも調査の結果通り。

良しとしなければならないと自分に言い聞かせた。

 

最初は、小口のほんの数万円のオーダーが、評判がいいという話で
次第に大口になりついには、売掛金は500万をこえてしまっていた。

いくらなんでもちょっとおかしいと思い始めた。

早速先方の担当者にアポをとった。

 

支払の確認をするためであった。

結局10万円を当月の30日まで支払うことで、とりあえずは合意した。

私は、それでちょっと安心した。

 

ただし次の月末まで納品は、控えさせてくださいと念も押した。

これで来月末に残額の入金が済めば、間違いなくいいお客様になる。

心が弾んだ。

 

そしてその日が来た。

経理担当の社員から月末の入金が、確認されない旨の報告を受けた。

 

ドキっとした。

私は、電話に手をやった。

そして…….

 

典型的な取り込み詐欺である。

まんまとやられた。

ある種鮮やかと言うほかはない。

当時営業歴15年を誇っていた私がである。

 

その日のことは、忘れない。

家に帰って一人泣いた。

涙が止まらなかった。

 

自分が情けなくて消えてしまいたかった。

それ以来最初の取引から掛け売りをしたことはない。

 

今でも彼の顔を忘れたことはない。

にこやかで丁寧なとても感じのいい男に見えた。

私が、にこやかで丁寧な相手が手ごわいと感じる所以である。

すべてのにこやかな相手がそうだというつもりは、もちろんない。

 

しかし私は、そういう相手の場合国内外を問わず、
自分に再度言い聞かせることにしているのだ。

その時の屈辱を。

 

もっとも手ごわい相手は、微笑みかけてくる相手だ!

一般的に、交渉の相手として怖いのは、笑みを浮かべた相手なのです。

良く言いわれている、

「弱い犬ほどよく吠える」

それと同じなのです。

 

怖い顔をしてかみついてくる相手は、実際は気が弱く、言われ弱いものです。

 

逆に穏やかでにこやかな相手は、手ごわい。

何を言っても動じることなく冷静に対応することができるからなのです。

 

こういった相手の場合、長期戦を覚悟して、こちらもゆったり
そしてにこやかに応対すべきです。

時間を気にした方が、負ける。

後の予定を入れずにじっくり交渉することです。

 

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