さて、今日は交渉術編、「相手が得られるメリットを、相手にイメージさせろ!」です。

これは、私の実際にやったお話です。

 

バイヤー

「大須賀さん 本当にそう思ってらっしゃるんですか」

 

「はぁ そう見えますが」

バイヤー

「もう一度おうかがいさせてくださいね。ほんとにそう思うのですね。」

 

私は、汗をぬぐいながら考えた。

ここで「はい」と言えば、すべてはぶち壊しになる。

もう二度とお声はかからないだろう。

 

それよりもっと重要なことは、私自身の良心がずっと私自身を許さないだろう。

私は、覚悟をきめた。

そして言った。

 

「わかりました。再度メーカーに、話をしてもう一回だけサンプルをつくるようにします。」

 

バイヤー

「そうですか。ほっとしました。お願いできるのですね。

 一瞬大須賀さんとは、もう二度とおあいできないのかと思いました」

 

女性バイヤーは、厳しい顔をゆるめた。

「そのかわりご指定の納期は、厳しいかもしれません」

 

バイヤー

「それは困るわね。とにかく早急にすすめてください。」

 

なんとかその場をしのいだが、これからが大変である。

これでもう5度目である。

 

メーカーは、自分たちの仕事にプライドを持っている。

4回目の時は、さすがに露骨に嫌な顔をされている。

 

もう一度やりなおしをしてくれないかと言ったら、彼はなんて言うだろう。

彼の不機嫌な顔が眼に浮かんだ。

 

2ヶ月前有名なキャラクターブランドからOEM生産の依頼を受けていた。

図面を渡されこれと寸分違わず作ってほしいとの依頼であった。

これが、うまくいけば年間でかなりの売り上げが見込めるのである。

私の心は、高鳴った。

 

早速提携の中国工場3社に打診をした。

もちろん秘密保持契約を結んでからである。

そして3社とも、快諾したのである。

私は、サンプルを心待ちにした。

先方のバイヤーもまた、何度も催促の電話をしてきていた。

期待してくれているのである。

 

そして2週間後最初の1社から待望のサンプルが届いた。

私は、思わずうーんと唸ってしまった。

 

いいとか悪いとかそのようなレベルでは、ないのである。

まったく別物といっていいだろう。

私は、早速電話をした。

どうなっているんだとの連絡である。

先方メーカー担当者は、調査するとのコメント。

私は、いずれにしてもこれは持っていけないなと判断した。

 

2社目と3社目のサンプルに期待しよう。

そう自分に言い聞かせながら到着をまった。

そして1週間後相次いでサンプルが到着した。

ところがどちらも微妙なのである。

 

私は迷った。

これを見せたらバイヤーは、なんと言うだろう。

うなだれてダメ出しをくっている自分の姿が、想像できた。

見せるのはやめにして、再度サンプルの制作を各社に依頼した。

かくしてこんなことが4度も繰り返されているのである。

メーカー担当者も最近は、いらついた感じが電話越しにビシビシと伝わってくる。

 

2社にいたっては、すでに戦線を離脱している。

この1社に断られればまた新しいメーカーを探さなくては、ならない。

さらに悪いことには、おそらくこのオーダーそのものが、白紙に戻るだろう。

 

私は、窮した。

どのようにメーカーの担当者に伝えるのかそればかりを考えつづけた。

次の日、意を決した。そして電話をとった。

 

自分の提案で、相手のよりよくなる姿を、相手に想像させる

 

「やぁ ステーブン おはよう!どう?」

 

相手

「ありがとう。おかげさまで忙しいよ。今日はどうした?」

 

「今日はね。提案があるんだ。世界一の技術力を持ちたいとは思わないか」

 

相手

「ほう おもしろそうだね。どんな話なの。MR 大須賀」

「うん。実はね。今お願いしているプロジェクトあるよね。

 君が送ってくれたサンプルをクライアントが、非常に気に入ってくれてね。

 もう数か所のパートを変えさえすれば、世界中に輸出できる商品になる

 可能性があるって言ってくれてるんだ。ね。いい話だろう。

 日本が誇る世界のブランドだぜ。彼らのニーズを満たせば、

 君のところは、この分野ではまちがいなく世界一になれるんだ。」

 

相手

「OK。いい話だね。具体的にはどんな感じにすればいいんだ」

 

あとは、トントン拍子である。

今まで以上の積極性をもってステーブンは、取り組んでくれたのである。

 

2ヶ月ご無事に納品は、完了し三者とも満足のいく取引を終えることが、できたのである。

あの時もし私が、いらついて不満をぶちまけてしまったとしたら、この取引はなかったろう。

 

私の提案を聞くことによって相手が、えられるメリットをイメージさせることができたのが、

このときの勝因だと考えている。

 

いかがでしたか?

 

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